カメルーンの地方開業医として働いていた私は、これまで多くの熱帯病と関わってきました。その際特に困難だったことは、その病気に対する国際的な規範等をどうやってアフリカの地方の実態に応用させるかということでした。この経験が、熱帯医学についてもっと勉強したいと思ったきっかけとなりました。プログラムの多様性、幅広い領域の講義内容、そして日本文化に魅力を感じ、TMGHに入学することを選択しました。TMGHでは、LSHTMを始め世界中の教育機関に属する講師が行う講義を受けることができ、まるで日本とロンドンの両方に留学しているように感じました。2019年TMGH入学後、出会ったスタッフはみな素晴らしく、世界クラスの研究室や関連分野での豊富な経験を生かした講師陣の講義を通して熱帯医学について学ぶことができました。TMGHで勉強できたことは素晴らしい経験で、これも最適な学習環境を作ってくださったスタッフのおかげだと思います。
熱帯医学の修士号を取得できたことで、故郷アフリカの田舎で蔓延している熱帯病に、国際的な解決策を適応させることのできる、専門性の高い知識と技術を備えた科学者へと成長する第一歩を踏み出せたと感じます。またこのことは、カメルーンの政策立案においても不可欠な役割を果たすことへと繋がると確信しています。現在はカメルーンのヤウンデで働いており、新たな挑戦を始めています。多くの臨床経験を積み、最終的には感染症、特に顧みられない熱帯病の博士号を取得する予定です。非感染性疾患も着実に増加しているという熱帯医学の新たな課題もありますが、私は故郷で研究を基盤とした医師の教育と熱帯感染症との闘いに貢献できることを目標としています。長崎大学グローバル基金とALN奨学金の寄附者の皆様、特にSYSMEX様のおかげで、経済的な負担を担うことなく、大学での素晴らしい経験を得ることができたことを、ここに感謝いたします。
*TMGH:長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科
*LSHTM:ロンドン大学衛生・熱帯医学大学院
*ALN奨学金:アフリカ-ロンドン-ナガサキ奨学金